忘れられない  Unusual trip 

                                                                                                                                                                                                                                            篠山美智子 

今年の春、2年ぶりのヨーロッパへの旅にでかけました。今回の旅は4月14日に関空を出発してフランクフルト経由アムステルダム行きで、そこで夫の出席するフォーラムに参加し数日を過ごした後ハンガリーのブタペストで休日を過ごすはずでした。


ところがフランクフルト空港に降り立った途端、空港の異常な雰囲気に驚きました。沢山の人が広い空港を荷物をひきながら途方にくれて右往左往しており、長い列をつくってやっと案内カウンターにたどり着いて何が起こっているのかを聞いたところアイスランドで火山の爆発があり多くのフライトがキャンセルされたとのことでした。今後の見通しはたたず、近くのホテルは満員で、とにかく乗れる汽車にのってアムステルダムまで行くことにしました。フランクフルトで会うはずになっていた成田からの知人もロシアの上空でUターンして日本に帰ったと携帯電話で知らせてきました。満員の汽車で深夜に人気の無い、それでも見覚えのある駅に降り立ったときはほっとし、その夜はただただぐっすりと眠りました。
翌日からテレビは朝から晩まで終日黒い煙を吐く火山とヨーロッパ各国の次々閉鎖される空港のニュースを報じ続け私達は不安を募らせるだけでした。結局楽しみにしていたハンガリーへの旅もヨーロッパ中の空港が閉鎖され中止せざるを得なくなりました。
                                     
フォーラムが終わったとき、とにかくフランクフルトまで出てフライトの再開を待とうと決め、ホテルではどうしても取れない指定券をとるため駅に行き,3時間以上待って、やっとのことでそれを手に入れました。フランクフルトの空港は今まで見たことも無い閑散としたもので報道関係者だけがチラホラと見える寂しい状態でした。近くのホテルに泊まり毎朝空港までチェックに行きお昼はフランクフルトの街中に出てゲーテハウスに行ったり街中を散歩したりしてすごし、夕方はまた空港にチェックに行くという日をすごしました。3日目に再開と知らされたときはどんなにうれしかったことか。

 
そんな中でも多くの人々からのやさしさに胸をあつくした事がたくさんありました。


空港で列を作っている間に汽車で行くことを示唆して時刻表まで調べてくれたイギリス人の旅行者、一緒に今後の方針を考えてくれたノルウェーで教鞭をとっている若い日本人、「私たちも汽車に乗れたらそうしたいけど費用がかかりすぎる」といいながらも汽車でいくことを勧めてくれたアフリカの若いカップル(みんな自分たちの飛行機が飛ばなくて途方にくれている人たちでした)、満員の汽車の中で「次の駅で降りるからココにすわりなさいね」といってくれた通勤帰りの素敵な婦人、アムステルダムで市内電車を待っている間に「財布にきをつけなさいよ」と声をかけてくれた町のおじさん、「フォーラムが終わっても最後の参加者が無事アムステルダムを出発するまでいつまでもフォーラムのデスクを閉じず見守るから」と言ってくれた事務局の人、帰りの切符を買う駅での長い列の中でつめたい水を配ってくれた職員、帰りの汽車の中で私たちの話をきいて携帯を出して飛行機の状態を調べてくれた隣にすわったハンサムな若いビジネスマン、今でもその人たちの顔がはっきりと浮かんできます。それが今回の何よりの旅の忘れえぬかけがえの無い思い出となりました。


 もう一つ今回のハプニングで、旅行をする時の危機管理ということを考えさせられました。コンダクターに付き添われた旅行グループは何の心配もなさそうで羨ましく思いました。今まで外国旅行というと美しい景色や文化とのふれあいといったことばかりを描いて旅に出ていましたが、まず第一に知っておかねばならないことは何か起きたときの対処のしかたの最低限の事は知っておくべきだということでした。そしてこの経験は周囲の人たちにも話しておくべきだと思いました。同じような状態に遭遇したときに何かの役に立つかもしれませんから・・。

 
そんな旅でしたが市内の花市場、町の様子、郊外のflower parkなど、ゴッホの絵に描かれているアムステルダムの美しい春を楽しむ心の余裕もチョットダケあったことも付け加えておきます。


今でも旅といえば過去数々行った旅のどれよりもこの旅が一番に浮かんできます。




                                運河でパフォーマンスをしている道化師                    フランクフルトのゲーテ美術館





                     
                              アムステルダムの町                                                        Flower Park